アタラクシアの夜の果実

アタラクシアの夜の果実

円い錠剤の形状(かたち)をして

奥歯で噛むたび苦くえぐみの滲む林檎の種子を

布団に這入る前一粒ずつピルカッターで砕き割って

舌で巻きとるようにしてごくり呑みくだした

シトラスシャンプーの香る枕カバーを眠れないひたいでぐいぐい推した

胃に調和がもたらされるまでのあいだ

すると

たおやかな家具の音楽が、芳醇な年代物の林檎酒がなみなみと注がれだして

耳の水位までひたひたと浸透した 

重厚な北欧が心の奥でひしめき合い 囲繞し わたしの胸を圧迫し

焦点を結ばない時間が遠ざかる洪水におし流された

わたしとあなたは液状化した林檎の軽やかな重力にひっぱられて

この惑星の中心へとつれさられる

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