苦痛の担い手たち
煤吹く死者たちを籠に背負い運ぶ者たち
死は彼らの背中で醸成され
痛みの濃度は静かに高められてゆく
死者たちの発するおぞましい苦痛が揺さぶられるたび
籠の編み目から無数の瘴気と煤が漏れだし
瀝青を垂らした跡が
点々と彼らの歩む道筋を穢した
彼らに与えられるべきつかの間の安息はなく
すべての生前の縁をふりほどくまで彼らの仕事はおわらない
背後で死の昂ぶりを感じるたび
担い手たちは顔を寄せ合い悲痛な冗談を口にした
猥雑なジョークが滑稽みを帯びるほど
彼らの背骨は重みに耐えかねひしゃげられてゆく
歪んだ背骨の痛みをこらえながら
彼らは顔を寄せ合い相談する
次は誰が籠を背負うべきかを
この汚穢の籠を
誰かが痛みを背負わなくてはならない
このなかの誰かが