鬼灯色をした硝子の球体を口に含んだ
舌で転がしたなめらかなあめ玉
奥歯で噛むと硝子に亀裂が生じて
ぴしん、ぴしんと共鳴した
素焼きの陶器の破片を口へ入れる
舌先が土っぽくざらつく
味蕾にぴりつくのは子供の頃遊んだ花壇の味
雨上がりの午前に嗅いだ夏草の噎せるようなにおい
胃のなかで硝子と陶器が混淆して
きらきらした雲母がお尻の穴から出てくるのを
朝いちばんのお通じで期待した
それはたぶん なのかめの便秘の敬虔な祈りにすこし似ている
一時間ほどがんばってごろんとした一個の卵を産んだ
僕の胃腸を通過した強く頑なな愛情を
きれいな箱に入れてラッピング用のリボンで結わえて
届けたい貴女へ