冬ごもり のために
たくさんのくぬぎを必要とした
僕らは集めた 朽ち葉を細かく咬んで
おがくずの寝床をしつらえた
菌糸ベッドで眠るわが子を おがくずのふとんにやさしくうずめ
妻はあくびをかみ殺し 僕の寝間着の袖をひいた
僕らはくぬぎの底で 深くゆるやかな呼吸をし くぬぎの底で
雪の重みで軋んだ天井を仰いだ
真冬の夢の 根雪のぬかるんだ土くれ
草の芽吹きに刳り抜かれた虚の春をゆめみて
長く冷たく蓋をおとした雪の幾千夜を
意識のとろ火で煮こまれまどろんでゆく
冬ごもり のために
たくさんのくぬぎを必要とした
僕らは集めた 朽ち葉を細かく咬んで
おがくずの寝床をしつらえた
菌糸ベッドで眠るわが子を おがくずのふとんにやさしくうずめ
妻はあくびをかみ殺し 僕の寝間着の袖をひいた
僕らはくぬぎの底で 深くゆるやかな呼吸をし くぬぎの底で
雪の重みで軋んだ天井を仰いだ
真冬の夢の 根雪のぬかるんだ土くれ
草の芽吹きに刳り抜かれた虚の春をゆめみて
長く冷たく蓋をおとした雪の幾千夜を
意識のとろ火で煮こまれまどろんでゆく